見えないものに、
こだわりたい。
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転機が訪れたのは、入社4年目。それまでレディース服の担当だった私に、メンズファッションカタログ「DINOS CHORD(ディノスコード)」を立ち上げから担当するチャンスが来ました。入社当時からいつかメンズカタログを作ってみたいと考えていたので、挑戦したいことは山ほどありました。とは言え、当時の立ち上げメンバーはほぼ私一人。誌面の構成から商品の企画までを、自分で進めていかなければいけません。カタログの立ち上げは初めてですし、当社でもメンズブランドの事例は少なかった。通販という特性上、ターゲットを明確にしないと打ち手もない。そこでアンケートによる、大規模なマーケティング調査から始めることにしました。
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意外にも、主な購買層は女性のお客様でした。以前担当していたレディースブランド「DAMA collection」シリーズと同じく、良質なものを求める奥様が、夫の洋服を代理購入されているそう。狙いが定まれば、あとは仕上げるのみ。商品生産を進め、モデル撮影を終え、なんとか無事にカタログは世に誕生しました。けれども結果は、売上目標の60%にも届かない、惨敗。商品も誌面も、良い出来だったはずなのになんで…。その答えを探すため、もう一度お客様の声に立ち返り、友達のお母さんにも直接取材をしました。たどり着いた要因のひとつは、売り出し方でした。読者の視点は、“夫に買ってあげたいかどうか”。つまり着心地や購入後のケアなどが決め手になる。それなのに私がやっていたのは、これまでレディースカタログと同様の、モデル中心の誌面づくり。お客様の購入後のことまでを、考えられていなかったんです。
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通販は、商品を手にとれません。だからこそ肌にふれる裏地、ボタンの縫製、軽さや吸汗性といった、お客様から見えない部分にこだわりたい。この想いがより強くなったのは、「今治タオルシャツ」のヒットから。展示会で今治パジャマの生地に触れ、シャツにしたい!と惚れました。でもどうすれば、“質感”を伝えられるのか。それまでモデル写真がメインだった誌面を、思いきって商品中心の置き画に変更しました。すると予想を上回る、大きな反響が。メンズカタログを任されてから、ついにヒット商品が出てほっとしました。責任は重いのですが、ここまで自由にやらせてもらえるのは、うちの会社のすごいところ。お客様に喜んでいただけるような商品を企画し続け、ゆくゆくは路面店など、さらに新しいことにも挑戦してみたいですね。