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三つの会社が個性を持ち寄り、 唯一無二の商品が生まれる。 三つの会社が個性を持ち寄り、 唯一無二の 商品が生まれる。

木工
CROSS TALK 02

Introduction

モノづくりのまち、大阪府八尾市。さまざまな業種の製造工場が立ち並ぶその一角で、
カフェのようにお洒落な町工場が存在感を放っています。藤田金属株式会社は、キッチン用品を得意とする金属製品メーカー。
取材に応じてくださったのは社長の藤田盛一郎さんです。
さらに今回、dinosと藤田金属さんをつないでくださった、株式会社サンアイの大江社長もご参加くださいました。
担当MD(マーチャンダイザー)の三林を含め、関西生まれの3人のざっくばらんな座談会をおとどけします。

Introduction

藤田金属株式会社
/ 代表取締役社長
藤田 盛一郎 Seiichiro Fujita

国内外のデザイン賞を受賞するなど、
独創的な製品開発が注目される
藤田金属の四代目。
“おもろいこと”を追求する
藤田社長のもとには、多くの企業から
共同開発依頼が舞い込む。

株式会社サンアイ
/ 代表取締役社長
大江 裕之 Hiroyuki Ooe

家庭用品の卸事業を営む
株式会社サンアイの代表。
国内外に幅広いネットワークを持ち、
企業と企業をつなぐ“コラボの要”。
多種多様なプロダクトの
開発・販売に携わっている。

株式会社dinos
/ 商品企画MD
三林 美晴 Miharu Mitsubayashi

2019年、新卒入社。調理用品を中心に
買い付けや商品開発を担当している。
工場見学や、専門家の話を
聞くことが大好き。
自分が感じた驚きや感動を、
お客様にも伝えたいと奔走する。

藤田金属さんの商品に
一目惚れしちゃいました。

まずは、今回の協業に至った経緯から
教えてください。

MD三林:きっかけは、私の一目惚れでした。数年前にあったキッチン用品の展示会で藤田金属さんの「お味噌汁パン」を見つけて、ビビビッときたんです。「ぜひともdinosで取り扱わせてほしい!というか、私がほしい!」と思いまして。

大江社長:味噌汁専用の鉄鍋っていうのがキャッチーでおもろいし、鉄分が摂れるっていう健康志向のコンセプトもいいですよね。

藤田社長:ありがとうございます。場所は東京ビッグサイトでしたかね?あんなでっかい会場で、見つけてもらってよかったです。

MD三林:鉄鍋で味噌汁なんて、普通は錆びちゃいますよね。今まで見たことなくて、私としては衝撃の出会いでした。なんで味噌汁専用の鉄鍋をつくろうと思ったんですか?

藤田社長:たぶん、よその会社じゃやらないと思います。それこそ「錆びるやん!」って。もともとはウチも、焼く・炒める・長持ちする・鉄分が摂れる、というのをウリにして鉄製品をつくっていましたし。ただ、あるとき思ったのが、「鉄鍋で料理すると鉄分が摂れる」って言われてるけど、ほんまはどれくらい摂れるんやろう?ということ。それで、専門の機関と一緒にデータをとってみたんです。そしたらね、いろいろ実験していく中で、どうやら味噌汁が飛び抜けて鉄分が出てるぞ、と。数値としては、普通の鍋の40倍も鉄分が多くなってたんですよ。じゃあ、それをメインに打ち出して商品をつくってみようか、というのがはじまりです。

MD三林:すごいですよね。鉄分不足に悩んでいる女性は多いので、そのデータも含めて伝えていきたいって、この話を聞いたときに思いました。

藤田社長:錆びの問題はもちろんあるんですが、ウチは「ハードテンパー加工」という独自の加工方法を取り入れていまして。製造工程の最後に、700度の高温で火入れを行い、仕上げにオリーブオイルを塗り込んでいます。これによって錆びにくく、焦げ付きにくい鍋になるんです。お客さんのお手入れもラクになります。とはいえ、まったく錆びないわけではないですから、鉄鍋を使う以上は、ある程度のお手入れは必要ですけどね。

大江社長:最近は、鉄鍋の良さがだいぶ世の中にも広まってきましたから、その手間も含めて受け入れられてきてますよね。少し手間がかかったとしても、美味しいもの、本格的なものを求める人が増えてるんやと思います。

MD三林:こういう開発工程のお話とか、知れば知るほど、いろんなこだわりを感じられて、ますます惚れちゃいました。そこで、まずご相談したのが大江社長です。サンアイさんは藤田金属さんと親交が深く、dinosもずっとお世話になっている問屋さんなので。

大江社長:dinosさんから連絡をもらって、やっとこのときが来たか!と思いましたねdinosさんと藤田金属さん、どちらもとにかくお客様を大切にされてる会社ですから、絶対に合うと思ってたんです。モノづくりのスタンスも通じるものがあるんじゃないですか?

藤田社長:そうかもしれないですね。ウチは、いつも朝礼で「ほんまもんをつくれ」と社員に言っています。気を抜かず、細かいところにまでこだわりを持ってほしい。たとえば、1000個の商品を販売して、たった1個に不備があったとします。僕らからすれば1000分の1のミス。でも、それがとどいたお客さんからすると1分の1なんですよ。だからこそ絶対に手を抜いたらあかん、と。

MD三林:ハードテンパー加工なんて、お客様想いの最たるものですよね。そのひと手間、ふた手間を製造工程に組み込んでいるおかげで、本来はお客様が使い始めにやらないといけないお手入れを省略できてしまう。私、感動したんです。そこまでしてくれるメーカーさんがあるんだなって。「dinosのお客様もきっと喜んでくれるはず!」と思いました。大江さんのサポートもあり、無事にお取引ができて本当によかったです。「お味噌汁パン」は、2024年のカタログに掲載することができました。そのとき私はメイン担当ではなかったのですが、展示会で出会ってからずっと大好きな商品だったので、当時の担当MDと一緒になって喜んでいました。

大江社長:三林さんの読み通り、ヒット商品になりましたね!

MD三林:お客様に商品の魅力が伝わったことが何より嬉しかったです。その後、藤田社長と再会したのが2025年2月のドイツでの展示会でしたね。

藤田社長:そうやそうや。お味噌汁パン売れましたー!って報告くれて。僕も嬉しかったですよ。

マルチに使える
相棒サイズの片手鉄鍋
COTETSU」。

オリジナル商品「COTETSU(コテツ)」の
開発に話が進んでいったわけですね?

MD三林:そうですね。お味噌汁パンの販売実績をつくれたこともあり次はぜひdinosオリジナルの商品を一緒につくりたいです!とオファーしました。やっぱり、まず相談したのは大江さんです。お味噌汁パンをベースに、よりdinosのお客様のニーズに合いそうな商品にバージョンアップさせられないかと。そしたら、私の希望をぜんぶ汲み取っていただいて、驚くほどスムーズに話が進みました。

大江社長:新規開発の案件って、企画しても実現しないことも多いんですよ。メーカーさんにもいろいろ事情がありますからね。ロットの問題とか、新しく金型をつくらないといけないから初期投資が多額になってしまうとか。でも、藤田金属さんなら大丈夫だと確信してました。おもろい企画に対しては、いつでもやりましょう!と前向きにトライしてくださるんで。それから藤田金属さんの場合、製品を量産するための金型の製造まで自社でやれてしまうのが大きいですよね。

藤田社長:かなり珍しい体制やと思います。だいたいのメーカーさんが、金型屋さんに発注しますからね。ウチが金型づくりも自社でやるのは、スピード感を持って新しいモノづくりに挑戦したいからです。内製化しているからこそ、金型部門と製造部門が意見を交わしながら、細かい試行錯誤ができる。過去につくった金型を保管しておけば、新しい企画に応用できることも多い。COTETSUの開発にあたっても、金型の在庫の中にちょうど使えそうなものがあって、改良して使っています。この体制だからこそ、外注だとなかなか実現できない柔軟な動き方ができるんです。

COTETSUは、従来のお味噌汁パンと
何が違うのですか?

MD三林:お味噌汁パンは、用途を味噌汁づくりに特化していて、割と小ぶりなサイズでした。私がこんなのもあったらいいなと思ったのは、よりマルチに使える雪平鍋のようなサイズ感の商品。汁物はもちろん、軽い炒め物や煮物もつくれるし、インスタントラーメンをつくるにもちょうどいいんです。日々の暮らしの相棒として頼ってもらえたらいいな、可愛がってもらえたらいいなと思って、ちょっとキャラクター感もあるコテツという名前をつけました。

大江社長:あとは、注ぎ口を両サイドにつけることが三林さんのこだわりでしたね。汁物をつくることも多いでしょうから、より注ぎやすく。使う人目線で商品づくりをされるdinosさんらしいオーダーだと思いました。

MD三林:そういった要望を大江さんに電話でお伝えしたら、わかりました!藤田さんと調整するんで、ちょっとお時間ください!って快く引き受けてくださって。そしてなんと、その翌週には試作品が上がってきたんです。えー!もうですか!?って、びっくり。さすが藤田金属さんやと思いました。

藤田社長:いやそれはね、ウチじゃなくてサンアイさんが早かったんですよ。もうぐいぐい来るから

大江社長:僕は企画者でもなければ、つくり手でもない。間に立つ者として、スピード命ですからね。三林さんのオーダーを伺ったその日に、藤田さんに今から行きますわって電話しましたもん。当社から藤田金属さんまで15分なんです。しょっちゅう来てます

藤田社長:直接お越しいただくと優先度も上がっちゃいますよ。じゃあ今からちょっと試作してみましょかなんて言うてね。

大江社長:藤田さんの代わりに僕が言いますけど、試作品をつくるのって、実はめちゃめちゃ大変なんですよ。そのために工場のラインを止めないといけないですからね。すべての工程を内製化してる藤田金属さんやからこそ、社長の一声でパッと動けちゃうんです。

藤田社長:で、いざ試作品が出来上がると、大江さんがまたすぐに駆けつけてくれる、と。

大江社長:ほんで、その翌日には飛行機に乗ってましたから。お鍋を大事に抱えて、東京のdinosさんにお持ちしました。

MD三林:本当にありがとうございます。大江さんが持ってきてくださった試作品、すぐに家で使ってみました。きれいに注げるかな?重さはどうかな?と吟味して。あ、フタがあると便利かも!と思って、また大江さんに相談したり。

大江社長:木製のフタもCOTETSU専用のオーダーメイドです。三重の木工メーカーさんにつくってもらいました。

MD三林:いやあ、さすがのネットワークです。こっちも早ワザでしたね。ただ、鍋の“重さ”についてはご苦労をおかけしました。

大江社長:いえいえ、三林さんが実際に使ってみて、どうしても重かったんですよね。仕方ないですわ。なんとか改善できないもんかと、藤田さんに相談しました。まあ、大阪から東京まで運んだ僕が一番重かったと思いますけど

藤田社長:より良いものをつくるために、正直なご意見をいただけるのはありがたいですね。今回は、素材となる鉄板の厚みを少し薄くすることで対応しました。これが薄すぎるとIHコンロで使えなくなったりするので、できうる限り薄く軽くしつつ、安心して使えるギリギリの仕様を実現できたと思います。

MD三林:私なんてまだMD歴数年のペーペーなのに、歴戦の社長お2人にちょっと重いですなんて、おこがましい限りなんですけど...きっとお2人ならなんとかしてくれる!と思って頼らせていただきました。

大江社長:三林さんの素敵なところは、前向きなところやと思うんです。たとえば僕がdinosさんでこんな商品を取り扱ってもらえませんか?とご提案を持っていくときも、まずはいいですね!って盛り上げてくれるでしょ。そうすると提案もしやすいし、話も広がっていきやすい。一緒に仕事していて楽しいですよね。もちろん、なんでもOKではなく、ちゃんと売れる商品になるように意見も言ってくれるので、信頼できるMDさんやなと思ってます。なんとか三林さんの力になりたいなと思わせるパワーを持ってるんですよ。

私の「ほしい」はきっと、
だれかの「ほしい」でも
あるから。

たくさんの自社開発商品を手掛けられている
藤田金属さんですが、dinosとのコラボ開発には
どんな意味があるでしょうか。

藤田社長:僕らとしても勉強になることが多いですよ。dinosさんは、ウチよりもたくさんのお客さんとつながっていて、お客さんの近くにいる会社さんなので、自分たちとはまた違ったモノづくりの視点を持ってるんです。「なるほど、そういう発想もあるんか」と気づきをもらっています。それがウチの考え方と掛け合わさると、また新しいものを生み出せるんじゃないでしょうか。

大江社長:dinosさんは、お客さんの声を知っている。メーカーさんは、モノづくりのことを知っている。手を取り合えば強力ですよね。そこをどうくっつけていくかが、僕の仕事やと思っているので、今の状況は喜ばしい限りです。何度も言いますけど、絶対に合うって分かってたんで

藤田社長:ありがたいです。自社開発ばかりになっちゃうと、知らず知らずのうちに自分らがつくりやすいものをつくってしまいがちなんです。自分らにはない発想でいろんな要望をもらえるからこそ、技術力も商品力も上がる。だからやっぱり、協業は大事ですね。

MD三林:よかった!そうおっしゃってもらえて安心しました。

今後、三社のコラボで
どんなものをつくりたいですか?

藤田社長:んー、なんでしょうね。最近はみんな揚げ物しなくなってるけど、あえて天ぷら鍋なんか、おもろいんやないかな。dinosのユーザーさんって、暮らしを丁寧に楽しんでるイメージがあるから、マッチすると思うんですよ。

MD三林:天ぷら鍋、いいですね!今回のCOTETSUはマルチに使える鍋ですけど、お肉が美味しく焼けるとか、オムレツがふんわりつくれるとか、何かの食材や料理に特化した商品もつくってみたいです。

藤田社長:だけど、やっぱりお客さんのことを一番理解してるのはdinosさんやから、「こんなんつくったら売れる!」と三林さんが思うものを形にするのが、このコラボの正解かもしれないですね。

MD三林:そんなそんな、大したアイデアは出せないかもしれないですけど...。私が大切にしているのは、自分が本当にいいと思ったものをお客様にご紹介すること。そして、自分が本当にほしいと思うものをつくること。それだけなんです。私はdinosのMDですが、同時に一人の生活者でもあるので、きっと私が「ほしい!」と感じたものは、いいと思ってくれる人がほかにもいるはず。その感覚は信じていきたいし、磨いていきたいです。いざ商品が売れると、お客様と気持ちが通じ合えた気がして、すごく嬉しいんですよ。大江さんは、何かありますか?

大江社長:いやいや、僕は企画もモノづくりもしませんから。三林さんに考えてもらう、藤田さんにつくってもらう。僕は、みなさんが最大限に力を発揮できるように、尽くさせていただくだけです。これからもスピード重視でね。声かけてもろたら速攻動きますんで、次回作もすぐやりましょうね!

藤田社長:もちろん、やりましょやりましょ。

MD三林:ぜひお願いします!鉄は熱いうちに、って言いますもんね。

大江社長:あら、うまいこと言いますね。きれいに締まったようですし、今日はこのへんにしときましょうか。

次なるヒット商品にも期待が膨らみますね。
みなさん、今日はありがとうございました!

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