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「なぜ、それをつくるのか」 世の中にとって 意味のある木工家具を。 「なぜ、それをつくるのか」 世の中にとって 意味のある木工家具を。

木工
CROSS TALK 01

Introduction

福井駅から車で約40分、山あいの街に広々とした工場を構える永野家具工業株式会社。
dinosが取り扱う木工家具の多くを共同開発してくださっている木工メーカーさんです。取材班に同行したのは、
dinosで収納家具を担当しているMD(マーチャンダイザー)の徳田。
永野家具工業さんと企画中の商品の開発秘話をはじめ、モノづくりのお話をたくさん伺ってきました。

Introduction

永野家具工業株式会社
/ 代表
永野 栄進 Eishin Nagano

アイデアのある家具づくりで、
数々のヒット商品を生み出す
永野家具工業の二代目社長。
モノづくりに熱く、
情に厚いお人柄により、
dinos MD陣からの信頼を集めている。

株式会社dinos
/ 商品企画MD
徳田 周平 Shuhei Tokuda

家具・インテリア販売の
大手企業を経て、2022年に中途入社。
キッチンやダイニング、
ランドリー周りの家具を担当。
日々、企画のタネを探しながら
生活している。

そのモノづくりに、
想いはあるだろうか。

今日はぜひ、いつものお二人の感じで、
お話をお聞きできればと思っています。

永野社長:そんな大したことは喋れんけどな

MD徳田:毎日のように電話してますからね。こうやって改まってお話しするとなると...照れますね。私、何かあるとすぐ永野社長に電話してるんです。こんちはー!って。

永野社長:なんもなくても電話してくるでな、徳ちゃんは。仕事の話もそこそこに、子どもの話やら日本経済の話やら。

MD徳田:ほんと、頼りっきりです。

一緒に商品開発をされるようになって
2年ほどになるそうですが、
お互いにどんな印象をお持ちですか?

MD徳田:私にとってはもう、頼れる兄貴といいますか。とにかく「なんとかしてくれる人」ですね。私のアイデアやこだわりを形にしてくれる人。そもそも、新規企画の商品を引き受けてくださるメーカーさん自体が貴重だと私は思うんです。つくっても売れる確証はないし、すでに売れている商品をつくり続けるほうがリスクも少ないですから。どんな企画でも柔軟に「なんとかしよう」と動いてくれるのが永野さんです。

永野社長:まあ、ウチだって断ることもいっぱいあるんやけど。と言っても、技術的に難しいとか、マーケティングがどうこうの話じゃなくて。俺が大事にしたいのは、ものをつくっていく上での〝こだわり〟っちゅうのかな。企画を持ってきてくれるMDの人が、どういう想いでこの商品をつくりたいのか。なぜその商品が世の中に必要なのか。それが伝わってこんかったら、基本的にウチはつくらんよ。

MD徳田:背筋が伸びるお話です。「普通のものはつくりたくない」って、いつもおっしゃってますもんね。企画をお持ちしたときも、よくないものは率直によくないと言ってくださるので、そういうところも含めて、とても信頼しています。

永野社長:やっぱり、つくってて楽しくないとあかん。つくる側もちゃんと意義を感じられて、前のめりになれる企画を持ってきてくれると嬉しいね。中には、よそのカタログを持ってきて「これが売れてるから、同じもんをつくってほしい」なんて人もおるけどさ。何をウリにして、なぜそれをつくるんやっていう意志がないと、消費者も納得してくれんと思うよ。

永野社長から見て、徳田はどんな人物ですか?

永野社長:んー、この人はでも、こだわりすぎかな(笑)。すんごい細かい。もうちょっといい加減でもいいのに、究極までこだわる人って感じ。

MD徳田:そうですかね...?

永野社長:そうやで。振り回されるほうの身にもなってみい。けどまあ、俺はそういう人が好きやけどな。「ここは絶対譲れん」みたいなところがあったほうが、ものをつくる人としてはね。こういう人がおらんと、新しい商品は生まれてこんから。

些細で過剰な
〝こだわり〟が生んだ、
キッチン収納棚
「おコメ本位」。

そんな徳田さんの強いこだわりから
企画されたのが、いま開発中の
「おコメ本位」ということでしょうか。

MD徳田:まあ、そういうことですかね(笑)。

永野社長:これなあ。徳ちゃんが並々ならぬこだわりをぶつけてくるもんやから、なんか形にしたったほうがよさそうやぞと思って、設計図を描き始めたのよ。

MD徳田:企画のきっかけは些細なことで、普段の生活の中で感じた不便さなんですよ。私の自宅にも、キッチンの後ろに収納棚がありまして。棚の上には電子レンジを置いて、その下が炊飯器を置くスペース。それがね、ごはんをよそうときに炊飯器の位置が低いんです。だからちょっと、かがまないといけない。ごはんをこぼしてしまうことも多くて、結構なストレス。それから、よそったあとに一旦お茶碗を置こうと思っても、上に電子レンジがあるから置き場所がない。もっと言うとですね、電子レンジにお皿を出し入れするときにも、一旦置いておく場所に困ってるんです。「あー、もっとここがこうなってて、ここにこれがあればなー!」っていうのを、毎日のように思っていました。一応、キッチン用品大手メーカーのショールームを片っ端から回ってみたんですけど、私の理想とする棚は見つかりませんでした。だったらもう、つくるしかないと。

永野社長:ほらな、細かいやろ?

MD徳田:快適にごはんをよそうためには、炊飯器を置くスペースを、スライド式の引き出し棚にする必要がありました。立ち姿勢でちょうどいい高さ、かつ蓋を開けても上の段につっかえないように。それと、人によって〝ちょうどいい〟は違うので、スライド棚の高さを変えられるようにしたくて。「どうやるのかは分かんないんですけど、できれば可動式にしたいです!」って、永野社長に相談しました。

永野社長:これが意外と、今までになかったのよ。スライド式の棚やデスクはいくらでもあるんやけど、スライド部分の高さを調整できるっていうのがなかった。ここは頭をひねったところやね。出来上がってみれば簡単なアイデアやったけど、これ、発売したら絶対みんなに真似されるで。だから、この可動式スライド棚の仕様は、意匠登録の申請をしているところ。

MD徳田:あとは、これまた細かいですが、電子レンジといえばラップです。長めのラップがちょうど良く収まる引き出しも、何度かサイズの微調整を経て、いい感じに仕上がりました。それから、どうせなら米びつを収納できる棚もつくっちゃおうと思って、セットで買えるサイド棚も依頼したんです。

永野社長:でね、サイド棚もすぐに試作をつくったんやけど、この人、気に入らんっちゅうねんで。

MD徳田:これもやっぱり高さが大事で...。最初の試作品は、米びつが入る場所がちょっと低かったんです。お米を炊くときって、まずは米びつからお釜に米を入れますよね。それから流し台でお米を洗って、炊飯器にセットする。そして、炊けたごはんを盛る。この一連の動作をずっと同じ高さで、一番楽な姿勢で完結させたかった。

永野社長:ほらな、めっちゃ細かいやろ?

MD徳田:だけど今回も、やっぱり形にしてくださいました。

永野社長:まあ、ここまでやりゃ気持ちええわな。

MD徳田:おかげさまで、今まで世の中になかったものをつくれたと思います。dinosのお客様には私よりご年配の方も多く、日常的な「かがむ動作」が体の負担になっていることもあると思うんです。小さなことかもしれないけど、一日に何度もある「ごはんを茶碗に盛る作業」が楽になるのは、きっとたくさんの人にとって意味があることだと確信しています。

これまでにない家具を、
日本中にとどけていこう。

今後は、どんなモノづくりをしていきたいですか?

永野社長:今までと変わらんけど、ちゃんと意味があるものを生み出し続けたいね。炊飯器を置く棚にしたってさ、別にこだわらなければ、3段のカラーボックスでも事足りるわけよ。うんと安上がりやし。それでも、本当にいいもの、ニーズをとらえたものをつくれば、値段が高くても買ってくれる人がいる。特徴のない量産品をつくるよりも、ずっとやりがいがあるし、そういうものをつくっていかなあかんと思う。徳ちゃんもそうやろ?

MD徳田:そうですね。新たなニーズを見つけて、新しいものをつくっていきたいです。ただ、最近は特に「今売れてる商品をつくっていればいいじゃん」っていう考え方が主流で、業界的には、まったく新しい商品はつくらせてもらえないことが多いんです。こうしてイチからモノづくりができる環境、なかなかないと思います。永野家具さんのようなパートナーさんと膝を突き合わせて、意見をぶつけ合いながら一緒につくり上げていけるのが、私は楽しくて仕方がないんです。

永野社長:そうやって一生懸命つくったものを、日本中の顔も知らん人たちに使ってもらってるって、すごいことやでな。

MD徳田:はい、本当に。この工場から全国に家具がとどけられていくんだと思うと、感慨深いものがありますね。

最後に永野社長にご質問ですが、
dinosに期待するのはどんなことでしょうか。

永野社長:これはもう、たくさん売ってくださいってことかな。俺らは精一杯いいものをつくるから、より多くの人にとどけてほしい。商品がヒットして売上が立てば、また次の開発にも力を注げて、いいモノづくりのサイクルができていくから。

MD徳田:がんばります。商品の売り方を考えるのもMDの仕事ですからね。

永野社長:どんだけ売れるか、徳ちゃんの腕次第やな。

MD徳田:いろいろ考えてますよー。「おコメ本位」とはまた別の企画なんですが、最近「スペパカグ」という新しい商品ジャンルを考案しました。コスパ、タイパは聞き馴染みがあると思いますが、スペパは「スペースパフォーマンス」の略で、限られた空間をどれだけ効率的に活用できるか、という考え方です。居住面積が限られる都市部では特に、暮らしを豊かにするためのキーワードになると思っています。ただ単に「つくって売る」だけじゃなく、価値観や生活様式の変化をとらえて、いかに世の中との接点をつくれるかが大事だと思うんです。「スペパカグ」は商標登録も済ませたので、さらに本腰を入れていきますよ。永野さんへの相談電話も増えちゃいそうです。

永野社長:まあ、こだわりすぎは、ほどほどにしてもろて(笑)。というのは冗談やけど。dinosさんとはもう20年以上のお付き合いになるけどね、これからも、一緒にいいものをつくり続けていけたらと思ってます。

MD徳田:たいへん心強いです。今後とも、よろしくお願いします!

永野社長、ありがとうございました。お二人の
タッグによる次回作も楽しみにしています!

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CROSS TALK 01 永野家具工業

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